2022.02.25
活用技術:プレミアムホワイトインキ・オーバープリント
「デザイナーに聞く」
広島アートディレクターズクラブ 様/design 森田太一デザイン事務所 森田太一様
今回はチップボールαFを使った印刷物をご紹介いたします。
チップボールαFとは、古紙を使用している再生板紙のチップボールシリーズの用紙です。
チップボールA/チップボールFを薄くした用紙となります。
用紙の色は明るめのグレーで、これは製造の際に使用される古紙に新聞古紙や地券、雑誌古紙を使っているためです。
元々、台紙や芯ボールなどに使われていた用紙ですが、最近では冊子の表紙やDMでも活用されています。
そんなチップボールαFを使用して制作した印刷物がこちらです。
早速印刷物を詳しく見ていきましょう。
今回の冊子は、表紙にチップボールαFを本文にはシルバーダイヤを使用しています。
そして印刷は表紙をインディゴ7Kで、本文をオフセット印刷機で印刷をしています。
インディゴ7Kで印刷している表紙はホワイトとスミ、2色のみで表現されています。
こちらの表紙、よく見るとスミベタの下に絵柄が透けて見えるのがわかりますでしょうか?これはこういった表現をするためあえてオーバープリントの設定のまま印刷しているからです。
しかしこちらの表紙に使われている手法はオーバープリントだけではありません。
プレミアムホワイトインキの色の差にご注目ください。
この白い絵柄はプレミアムホワイトインキを使用していますが、すべて同じ回数で印刷していません。1回・2回・3回と場所によってインキの回数を変えています。こうした印刷回数の差によって同じ色の1色ベタでも色の差が生まれています。
インディゴ7Kでは機械側でインキの印刷回数を変えることができますが、データ上で設定すれば1つの絵柄の中でもインキの印刷回数を変えることが可能です。
いかがでしたでしょうか?
今回は特殊インキとオーバープリントをチップボールαFへの印刷に上手く組み込んだ印刷物でした。
そして、表紙をチップボールαFにスミとプレミアムホワイトインキを印刷して表現する、というのはデザインを担当された森田様からの希望でした。表紙のみ立ち合いで本機校正も行い、その場でデータを修正して最終的なデザインを決められました。
インサツビトに来て、会話をし、印刷物を見ていただき、新しい創造が生まれた、そういった事例でもあります。
次回の事例紹介もお楽しみに。