印刷レポート

プリントサーバー【HP PrintOS Production Pro】のご紹介

2023.06.16

今回の研究レポートはプリントサーバー【HP PrintOS Production Pro】の簡単な説明とそのサーバーの一部のプロファイルを使って印刷物の色の表現がどのように変化するのかを見ていきたいと思います。

でははじめに、プリントサーバーについての説明です。

ほとんどのデジタル印刷機などの出力機器は、データをプリントサーバーへ取込みサーバー内部で※RIP処理を施して印刷物などを出力しています。

ここで少しRIPについてのご説明・・・
RIPとはラスターイメージプロセッサ(Raster Image Processer)の略で、DTPソフトやOfficeなどでデザインされたデジタルデータを印刷に適した形に変換する装置やソフトウェアになります。DTPソフトなどで作成されたデータはベクターデータと呼ばれる数値で管理されたデータで生成されています。対して印刷などで出力される出力機器はラスターデータという規則的に並ぶ点(ドット)で構成されたデータを出力しています。これらのベクターデータをラスターデータに変換するのがRIPの役割となります。

今回ご紹介するHP Indigo7Kのプリントサーバー【HP PrintOS Production Pro】もそういった役割を担っています。また、RIPの役割だけでなく面付・特色の指定・RGB変換などのプロファイルの指定やのせスミの設定などの製版処理などもサーバー内部で行っています。

では大まかなデータの流れを見ていきます。

これらのアプリケーションのデータはベクターデータで作られています。このままのデータでは出力機器では出力されません。
出力機器が読み取ることができるPSやPDFデータに変換します。
弊社が印刷用に適したPDF/X-4での入稿をお願いしているのもこのためです。このデータをプリントサーバーへ取り込みます。
HP PrintOS Production Proにて出力に見合った処理の指定をして、印刷に適したデータ(ラスターデータ)を出力します。
面付やカラー変換などを行って出力物ができあがります。

以上が大まかな制作から出力までのデータの流れになります。

ではここからは、
プリントサーバー【HP PrintOS Production Pro】が持っている色変換のプロファイルの違いを見ていきたいと思います。
※ここで使用する入力データはひとつだけです。

入力データ:PDF/X-4、画像はRGBのデータ

今回使用するプリントサーバーが持っている色変換のプロファイルは以下の4つです。
・通常の4色変換
・Color UP(Adobe RGB)とColor UP(sRGB)の2種類
・弊社オリジナルの蛍光ピンク+CMYK

続いて印刷物の比較になります。
印刷物をスキャンして掲載していますので表現の違いがわかりづらいかも知れませんがご了承ください。

ここでは4色印刷が基本の印刷物として比較していきます。 
・Color UP(Adobe RGB)は全体的に発色がよく個々の色の濁りが少なく濃いイメージがあります。
・Color UP(sRGB)は4色印刷と比べてあまり差を感じません。敢えて言うならイエローの部分が濃いイメージがあります。 
・蛍光ピンク+CMYKは4色印刷と比べ全体的に明るいイメージがあります。また赤の部分は蛍光ピンクで表現されており他のプロファイルと比べて特徴的な表現をしています。

次からは分版をそれぞれ出力していますで個々の色の出力を見ていきましょう。

●Cyanの出力になります。

・Color UP(Adobe RGB)は他と比べても濃く(5〜8%)出力されています。 
・Color UP(sRGB)は4色印刷と比べてあまり差を感じません。
・蛍光ピンク+CMYKもColor UP(sRGB)と同じように4色印刷と比べてあまり差を感じません。

●Magentaの出力になります。

・Color UP(Adobe RGB)は4色印刷と比べてブルー部分のマゼンタの濃度は若干薄くなっています。 
・Color UP(sRGB)は4色印刷と比べてあまり差を感じません。
・蛍光ピンク+CMYKは他と比べても明らかに色が薄くなっています。

●Yellowの出力になります。

イエローは色自体が見えにくいのもあるかも知れませんがプロファイルによる濃度の差は感じられませんでした。

●Blackの出力になります。

・Color UP(Adobe RGB)は4色印刷と比べてあまり差を感じません。
・Color UP(sRGB)もColor UP(Adobe RGB)と同様に4色印刷と比べてあまり差を感じません。
・蛍光ピンク+CMYKは薄い色の部分が他と比べて濃く出力されています。・・・これは意外でした。

ここからはColor UPの補色の出力になります。
Color UPの機能は一度研究レポートでご紹介しています。
詳しくは、
もう一つのRGB再現印刷 −Color Up!− https://insatsubito.jp/post-1434/ をご覧ください。

●それでは続きから、Color UPの2回目のCyanの出力になります。

Color UP(Adobe RGB)は補色されていますが、対してColor UP(sRGB)は全くシアンの補色がされていません。画像によって多少の差は出るとは思っていましたがここまでとは・・・・

●Color UPの2回目のMagentaの出力になります。

意外なことにマゼンタに関してはColor UP(Adobe RGB)、Color UP(sRGB)両方とも補色がされていません。今回の画像はマゼンタに関しては通常のCMYKの色域に収まっていたということになりますね。

●Color UPの2回目のYellowの出力になります。

イエローに関してはColor UP(Adobe RGB)、Color UP(sRGB)両方とも補色がされています。どちらかというとColor UP(Adobe RGB)の方が補色されている色が強いように見えます。

では最後に弊社オリジナルのRGB変換(蛍光ピンク+CMYK)です。
これも一度、研究レポートでご紹介しています。
詳しくは、
蛍光ピンクインキの可能性 https://insatsubito.jp/post-3997/ をご覧ください。

●では、蛍光ピンクの出力を見てみましょう。

この蛍光ピンクを見てみると先ほどのマゼンタが他と比べて薄くなっていたのも納得ですね。蛍光ピンクを補色するというよりもマゼンタの代用として蛍光ピンクを使っているというイメージの方が正しいかも知れませんね。

いかがでしたでしょうか?
同じデータをサーバーに設定された異なるプロファイルを指定するだけで色の表現も違ってきます。このようなことが簡単にできるのもデジタル印刷の面白さのひとつではないでしょうか?
今回はHP Indigo7Kのプリントサーバー【HP PrintOS Production Pro】についての説明とプロファイルを使った色の比較でした。
インサツビトではRGB印刷について色のご相談なども承っております。印刷の色味にお悩みの方などお気軽にご相談ください。

インサツ相談はこちら:https://insatsubito.jp/usces-member/

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