印刷レポート

水溶紙(溶ける紙 水)の印刷実験

2024.04.15

今回の研究レポートは水溶紙の印刷実験です。

水溶紙はHP Indigo7K(液体トナー)で印刷できるのかの実験レポートになります。

水溶紙・・・文字通り水に溶ける紙です。
私たちの身近なところではトイレットペーパーがありますよね。
ただ、それ以外でも普通に印刷できる用紙としても販売されています。今回はその中で「溶ける紙 水」と書いて「とけるし みず」と読む用紙で印刷実験を行っていきます。

表面は上質紙の質感とよく似ていますが、裏面は少しザラつきがあるような用紙です。

ではこの水溶紙がどのように水に溶けるのかご覧ください。

右から上質紙、トイレットペーパー、水溶紙(溶ける紙 水)となります。

ご覧の通り上質紙は溶ける気配はありませんね。また、トイレットペーパーと水溶紙は溶け方が違って見えますね。

一般的な紙は木材や植物などの原料から、植物繊維を取り出しその繊維をしっかりと結合させて作られています。今回の水溶紙はその繊維の結合をできる限り低くして作られています。そのため、水に触れると繊維がすぐにほどけ水に溶けたようになるという仕組みです。
動画をご覧の通り水溶紙はあっという間に水に溶けました。

では、ここからが本題になります。
この水溶紙(溶ける紙 水)は デジタル印刷機 HP Indigo7K で印刷できるのか実験をしていきます。ご存じの方もいらっしゃると思いますがHP Indigo7Kのトナーは液体トナーとなっています。水溶紙は液体トナーでも印刷できるのでしょうか???

結果は!!!

きれいに印刷できました!
定着もよく HP Indigo7K との印刷適性も良い感じです。

実はこの水溶紙(溶ける紙 水)の特性で「水」にはすぐに溶けるのですが “アルコール” や “油” には溶けない特性を持っています。また、HP Indigo7K の液体トナーのほとんどの成分はイメージングオイルという油でできています。結果としてきれいに印刷ができるということになりました。

では、せっかくなので本当に水溶紙(溶ける紙 水)が液体トナーに溶けないのか見てみましょう。

画像は蛍光オレンジの液体トナーです。
しばらく浸けていましたが結果として水溶紙が溶けることはありませんでした。

それでは印刷された紙は水に浸けるとどうなるのでしょうか?

水に浸けるとすぐに紙のみが溶けていっています。印刷部分は水に浮いた状態です。
水に浸けて2日が経ちました。わかりにくいかも知れませんが紙の部分はほとんどが下に沈み印刷された膜のみが水に浮いています。

結果
水溶紙(溶ける紙 水)は液体トナーを採用しているHP Indigo7Kで問題なく印刷することができました。
インク抜けもなく印刷できたのでIndigoとの適性もあるように感じました。

今回実験に使用した水溶紙ですが、水に溶けて環境にも害の無い成分に分解されるため環境に優しい用紙としても使用されています。使用用途も様々で流し灯篭や海洋散骨、ガーデニング・医療などにもつかわれているようです。また、すぐに水に溶けるためシークレット用紙として機密文書などにもつかわれているようです。
デメリットとしては、一般的な用紙より価格が高いように感じます。また、結合の強さを限りなく弱く作っているため一般の紙よりも強度が弱いと感じるかもしれません。

今回の研究レポートは以上になります。
いかがでしたでしょうか。
環境にもやさしいとされている水溶紙、是非このレポートを参考にご使用いただければ幸いです。

それでは次回の研究レポートもお楽しみに!!!

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