CREATORS SESSION 九州編 / Case 2 後藤大樹

1991年大分県生まれ。デザイナー。福岡・大分を拠点に文化芸術にまつわる企画のデザインなどを手掛ける。福岡県八女市のオルタナティブスペース「FUTEMIMI」を共同で運営。最近は郷土史に興味があります。

https://www.instagram.com/daikigotodesign/


セッションのため用意した作品

Process

ホワイトインキの可能性を試してみたいとご希望。ファンタスと岩はだの両⽅の刷り上がりを見て、ギラついた光沢の上にシルク印刷で刷ったような仕上がりのホワイトがいいということで、この⽅向で追い込み。⿐部分の影の具合と右⽬の栗の陰影に納得がいかず、ご⾃⾝でデータから修正。その後、ホワイトの重ね刷りを3回、4回、5回と試作。結果、4回で⼗分ということになり、フィニッシュ。

Interview

今回の誘いを受けて体験前までの印象は?

純粋に楽しそうだなと思いました。印刷会社さんがトライアルのためにクリエイターを呼ぶ機会はあまりありませんから。印刷や紙がもともとすごく好きなので、またとない機会だなと。インサツビトさんの見本に加えて原田さんが送ってくださったサンプルも見ながら、どうすれば紙やインキが活かせるかなとイメージしていました。ちょうど別件で黒い紙の上に白を乗せた印刷物を作ろうと思っていたところで、沈みがちな白がデジタルオフセットだとどれくらいコートしてくれるのかを見てみたくて、チャレンジしてみました。

体験してみていかがでしたか?

インサツビトさんが「対話」とおっしゃるのが、分かった気がしました。実際に話しながら変わっていくのが、すごく感激で楽しかったです。気軽に相談してくださいと言われる印刷会社さんもありますが、実際にお願いするとなるとなると、どこまで相談していいものなのか、気を遣ってしまうんですよね。でもインサツビトさんは相談しやすい雰囲気があります。いい意味で、予想を超えていました。



インサツビトにデザイナーがいることについてどう思いましたか?

要望を伝えるのに、デザイナーさんがいなかったら、印刷屋さんに分かるような言葉に翻訳して伝えるのが難しいのではないかと思います。デザイナーさんが僕の言葉を印刷屋さんの言葉に翻訳して橋渡しをしてくれる感じ。逆に自分が知らない印刷の手法をデザイナーさんから教えていただけたりもして、対話の大切さを感じました。



今後に生かすことができそうなヒントはありましたか?

たとえば省コストで作品集を作るとなるとオンデマンドで印刷も検討しますが、やっぱり印刷の質感が安っぽさが気になります。かと言ってオフセットは金額面で気合いがいるので、なかなか難しい。デジタルオフセットはそこが両立されていて、そんなにたくさんの部数が必要ないものにはぴったりな気がします。30部ぐらいでもできるのがすごいです。



最終的にファンタスブラックに刷ることにした決め手は?

ツルツルした質感の上にインクが乗ったらどのような変化が生まれるのかが気になりました。または違う風合いになるのか。さらに、インクが乗った後で紙の風合いはどこまで残るのか。いくつか刷っていただいた中で、ツルツルの上に白インクが乗ったものが、一番インクの面白さが残っている感じがしたので選びました。岩はだに刷ったものもかっこいいと思いましたが、ファンタスには勝てませんでした。皆さんも言っていましたが、シルクスクリーンっぽいですね。オンデマンドのホワイトトナーで同じ作品を作ってみたこともあるのですが、細かいニュアンスがなくなってしまうんです。でも今回は木の細かい質感も残っていたので、すごく良いです。s


インサツビトへのリクエストは?

地域によってどんな表現の違いがあるのかが気になりますね。各地のクリエイターがインサツビトを経由したらこんな表現になったというような展示があったら面白そうですね。単なる紙ものに留まらない「作品」が作りやすそうだなと思います。1部単位でできますし。そんな展示があれば、個人的に気になります。ピンポイントでこういったサービスを欲していたので、ぜひまた利用させてください。


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