CREATORS SESSION 九州編 / Case 3 中村美和子
佐賀市在住。画家。1994年生まれ。兵庫県出身。2019年佐賀大学大学院地域デザイン研究科修了。近年の活動にSAGA-DAI-HATSU ART PROJECTでの個展「切られてる木」など。
https://www.instagram.com/jugemgirl/
セッションのため用意した作品
Process
作品は3作品。ペインティングはRGBで再現したかったが、元の⾊にその領域の彩度がなかったため断念。枝を描いた作品を追い込んでいくことに。⽊の端材に⽩い画材で⽴体感を出しているという原画に近づけることができるか挑戦。枝のパーツを幹、枝、切り⼝の三つに分けて、ホワイトインキを1回、5回、8回と回数を変えて刷ってみる。CLOUD GRAY イエローグレーに刷ってみたが「製品みたいで⾃分の作品らしくない。アートの匂いが感じられない」とキャピタルラップに決定。しかしなかなかパーツの差異が⾒えない。背景に⽩を⼊れてみたら? 背景の⽩に少しイエローを入れてみたら? スミを入れてみたら? と試行錯誤するも「面白い…けどなぁ…」「なんか違うなぁ」と、なかなか着地できない。そして「いっそ背景を透明インキにして、切り⼝はホワイトではなく⽤紙の地を出してみたら?」とチャレンジ。するとミワコさん「かわいい!!!」⼀同「おおおっ!!!」と拍⼿喝采! 今回のセッションで最長時間をかけ、キャピタルラップで無事フィニッシュ。※後日、キャピタルラップは廃盤のため、OKブリザードに変更することになりました。
Interview
今回の誘いを受けて体験前までの印象は?
普段は紙に印刷するような作品を作っていないので、何ができるのかイメージできなかったけど、どうやらすごい印刷機でいろいろと試せるらしいと聞いて、工場見学みたいで興味が湧きました。
体験してみていかがでしたか?
めっちゃ楽しかった! これまでは、紙も印刷の仕上がりも、こんな風にしたいというイメージはあるけど、入稿したらそこまでで、その先はただ印刷屋さんに任せて、届いてから初めて完成品を見るだけ。私は印刷の知識も経験もないから印刷には苦手意識があったのですが、こんなに選択肢あって、少し変えるだけでこんなに雰囲気が変わると知ることができて、面白かったです。繊細に調整できるので、これ自体を自分の作品として鑑賞してもらうこともできるし、エディション販売もできそうだなと思いました。
インサツビトにデザイナーがいることについてどう思いましたか?
いてもらった方がいいと思います。私自身が職人さんに数値で印刷の要望を伝えられるようになるには、たくさんの知識と経験が必要ですよね。だから自分のイメージを職人さんに分かりやすく伝えるのを手助けしてもらえるのは有り難いです。
インサツビトへのリクエストは?
印刷のことを知らないから、知らず知らず妥協していた部分がたくさんあったんだなと今回感じました。印刷する際に、こちらの要望を今日みたいに細かく聞いてもらえる機会もあまりありません。インサツビトの皆さんは、私がしたいことを的確に汲んでくれてより良い方向に導いてくれたけど、場合によっては印刷する側にとって得意な方向に誘導されることもありますよね。だから、話を聞いてもらえて、微妙なニュアンスを理解してもらえることが幸せでしたね。今後も機会があればぜひ利用したいです。ファインアートの作家さんは、その辺に無頓着だったり、つながり方が分からなかったりしている場合もあると思うので、こういったことができると知れば、ものすごくこだわりたいという人もいるのではないかと思います。私みたいに知らないことが多い場合は、ベストなものにたどり着くのに時間がかかったりたどり着けなかったりするので、もっとたくさんの事例を手軽に見られたり、選択肢を教えてもらえたりできれば、うれしいですね。今日は本当に楽しかったです!